CADで作る鉄道模型(東武8000系 その15)
家庭用3Dプリンターを用いて、独自設計の鉄道模型を作ってみました。プロトタイプは東武博物館が動態保存している東武8000系の8111Fで、縮尺は1/45(Oゲージ)です。CAD(Design Spark Mechanical)で設計しています。3Dプリンターで車体の造形が完了したので、前面部の床下をモデリングしていきます。
電車の台枠をモデリングする(東武8000系)
前回までに、3Dプリンターで造形した東武8000系の車体が概ね完成しました。ここからは電車の床下をモデリングしていきます。
東武8000系の未更新車や初期更新車の前面部にはスカートが取り付けられておらず、Oゲージの大きさで製作する場合は特に前面部のスカスカ感が否めません。そこで、連結器やATS車上子、配管などを作りこむことでリアルに仕上げたいと思います。
まずは電車の基礎となる台枠をモデリングします。模型として普段眺める際には裏側は見えませんが、台枠を構成する中梁、側梁、枕梁などを作りこんでみます。ちなみに実車の台枠では車体の軽量化と強度の確保を両立するため、梁の部材にはI型鋼などが用いられますが、ここでは模型としての強度を確保するために省略します。
続いて、心皿と緩衝装置が設置される部分の突起を設けます。 心皿はボルスターと接続するためのピンが入る部分で、カーブを曲がる際には心皿を中心に台車が回転します。緩衝装置は連結器の付け根に設置され、車両間に生じる振動や衝撃を吸収する装置です。
連結器をCADでモデリングする(密着式自動連結器)
以上で床板の基本的な形状ができましたので、ここからは東武8000系の先頭部に取り付けられている配管や機器をモデリングします。 まずは先頭部の中央にある連結器を作ります! こちらは連結器を支える胴受という部材を作った状態です。連結器の本体は胴受の上部に設置され、カーブなどで連結器が首を振る構造になっています。
車体の本体に、先ほど作成した床板と胴受を組み合わせると... こんな感じです!下から見た時も実感的になったのではないでしょうか。もっとも、模型を下から眺めることはあまりないかもしれませんが(笑)
次に、連結器の本体を作ります。東武8000系に備えられている密着式自動連結器というタイプです。東武鉄道の車両では、8000系や東上線の10000系列(10両固定編成)、350系、20000系などに用いられています。
電車の先頭部には、類似した形状の自動連結器(並形連結器)を備えるものもありますが、よく観察すると細部が異なります。
密着式自動連結器はその名のとおり、自動連結器と比べて2つの連結器が完全に密着するように作られており、営業運転で増結を行う電車によく使われます。実車の連結器の下部には、電車を分離する際に操作する「解放テコ」と呼ばれる部品がありますが、模型化すると極端に細くなってしまうため省略することにします。
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ATS車上子とジャンパ栓・配管を3Dモデリングする
連結器の次は、ATS車上子とジャンパ栓受けを作ります。
ATS車上子は天地方向の寸法が大きいので、引っ掛けて折れないようにやや太めにしてみました。リアリティと強度をどのように両立させるかが悩ましいですね^^;
また、ジャンパ栓受け(19芯連結栓)は3つ設置し、車体側へ伸びる電線を再現する際に作業しやすくするため、蓋は半開きの状態になるようにモデリングしました。
乗務員用のステップをや雨樋の排水管も設けます。 車体との位置関係を確認し、乗務員室扉の真下にステップが設置されるように微調整して作ります。ステップもスケール通りにモデリングするとかなり細くなってしまうので、太めにしてみました。
最後にブレーキ配管を作成します。 東武8000系は電磁直通空気ブレーキ方式を採用しており、3本の配管があります。それぞれの配管には識別用に赤、白、黄色の色がつけられているため、模型でも色差しすると引き締まりそうです。
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